金曜日の深夜に羽田を出発し、月曜日の早朝に帰国する1泊2日の弾丸ツアーの行き先として香港を選んだ大きな理由はありませんでした。日頃家事などを任せている家族と一緒に始めようと考えていた海外旅行の1回目として、オフシーズンのためか安価であり、まとまった休暇を取ることもなく気軽に行けるところとして選んだのだと記憶しています。多少の礼儀が保てるようお礼と挨拶程度の広東語は覚えてゆきたいと考えていた小さな計画も叶いませんでしたが、初めてだった羽田空港国際線ターミナルを一通り見て回れる程度の時間の余裕もあって、順調に旅行はスタートしました。1日目は香港島を中心に、2日目は九龍半島を中心に回るという大雑把な計画の中、香港国際空港到着後先ずはエアポートエクスプレスを経て、地下鉄MTRの銅鑼湾(ゴーズウェイベイ)駅を降り、早朝の荷下ろしをしている地元の市場を抜けたところにあるホテルのコンシェルジェに大きめの荷物を預けました。雲行きを多少心配しながら、逆に降られないうちにと、先ずはビクトリアピークに向かい、朝9時頃に香港の素晴らしい市街の風景を2方向から堪能しました。
山をバスで下りたあとは、店がほとんど開いていなかった中スターバックスで水分補給などをしながら、昼食は名の知れているらしい店で飲茶を頂きました。 地元の人たちも利用する店らしく、予約もしない一見の観光客は3階へと促され、2人の日本人男性客と円卓に相席になりました。多くをお話しさせて頂いた訳ではありませんが、先方から写真を撮って欲しいとの声掛けから、むしろこちらの2人の写真を撮るきっかけを作って貰ったような流れでした。弾丸ツアーであることをお話しすると、お相手側は一人が単身赴任で広州に在留中で、寂しいので友人を香港に誘って日帰りの旅行をしているのだということでした。内陸の中国と違って香港は自由で全く雰囲気が違うことを話されました。その時何となくこれまで意識していなかったことに気付いたように思いました。日本人にとって台湾や香港が人気なのは、本当の中国に行く勇気はないけれど、中国らしさ、平たく言えば飲茶などをしてみたくで選ぶ観光地なのではないか。自分達もそのような気楽さを今味わっているのだと。入国審査官からの質問などもなく、無言通過のゆるそうだった点なども思い出しながら感じたことです。 天候には恵まれていましたが、とにかく暑くて蒸す土地だと感じました。来る前は半分本気で半ズボンを準備することも考えましたが、結果的に少し厚手だった長スボンの中は汗でグズグズの状態で長時間歩きました。7番埠頭からスターフェリーで半島に渡ることも、いくつか考えていた観光ポイントの一つであったので実行しました。普段、職場の上層階から東京湾を眺めることができ結構頻繁に行き交う観光船を見かけていますが、今は逆の立場なのかなと思いながら、旅をしていることを実感しました。

日光の照りつける尖沙咀の街や九龍公園を回りつつ、八達通(オクトバスカード)がないと使えない飲料の自動販売機のせいで水分補給もできないまま、ショッピングビルに入っている無印良品でジュースを買って何とか凌ぎましだ。公共交通機関の利用に便利なオクトパスカードを買わずに切符を都度購入する方法を選んだのは、多分再び香港に来ることもないだろうと考えたのが理由です。羽田での香港ドルへの両替も最小限にした上、ホテルチェックイン時に予想外の現金500ドルのデポジットを要求されたため、夕食はホテル近くにあった安価で若者に人気があるらしいチェーン店で飲茶を頂きました。カスタードの入ったかわいいブタの顔の形をしたデザートなども含めて良い味をしていたと思います。
