カテゴリー
未分類

記憶する力を与えられた生き物の宿命

慣れ親しんだ地域の良さは、ずっとその地域で生活を続けていると気付けなくなってしまいます。常に見た、聞いた体験を瞬時に忘れてしまうことを想像してみると、体験の新鮮さが失われるのは、無意識に記憶していることに因るのだと理解できます。年齢とともに日々が過ぎるのが早く感じるのは、毎日の暮らしが経験、言い換えると記憶の下の繰り返しであるからだと説明されています。同じ道路の行き帰り、帰り道の方が早く感じるのも同じ理由です。

新しい体験ができる旅行の良さには、住んでいる地域の良さを再確認できることも含まれるのですが、残念ながら今はコロナ禍のためにどうしようもありません。テレビの旅番組や、もっと云えば、デパ地下の店舗紹介をしてくれているのを見て疑似体験をするのが楽しみになっています。

さて、ここにきて、新型コロナウイルス陽性者数が、東京で5,000人超えで高止まり、全国で25,000人超えで増え続けている状況です。緊急事態宣言慣れなどといった考察がなされていますが、我々は、宣言だけでなく、この一年以上に亘るすべての事柄を無意識に記憶し、それらに対する慣れを体得しています。クラスター発生というニュースへの反応、身近に感染者が出た際の、関係者のPCR検査が出るまでの緊張感、全てに関して、今までは大丈夫だったという記憶が各自にあることは間違いありません。

記憶する力を与えられた生き物は、記憶することにより多大なる安心感を獲得しています。一方で、旅を通して、転居を通して、体験を多様化する術も身につけています。ここにきて後者に難しさが出てきています。しかし、そこを克服する方策を考える必要があります。我慢ばかりではなく、疑似体験や、頑張ることにより体得できるものをもっと前面に見える化するのが一手ではないでしょうか。