新型コロナウイルス感染症は、感染症法上において、5月8日から5類感染症(定点把握分※)になりました。これに伴い、マスク着用など感染症対策についても個人の主体的な選択が尊重されるようになり、公共交通機関内外など場所を問わず、日に日に着用する人が減ってきているように感じています。(※風疹、百日咳、梅毒など23の感染症は全数把握分に分類されている。)
そのような状況の中、5月中旬の晴れた午後に住宅街を歩いていると、幼稚園帰りのお子さんの大きな声が聞こえてきました。自転車後ろの補助椅子に座った姿勢から、お腹一杯に力を入れ、少し仰け反る姿勢から前に振りかぶって、「またあしたねぇーっ」と前方を少しずつ自分の家に向かって離れてゆく友達に何度も絶叫しています。当該ウイルスの病原性が高く、その正体が全く分からなかった当初から今年の春まで、このような風景は殆ど見られなくなっていたと思います。無心にただただ現時点が楽しくて仕方がなく、明日も同じように無条件に楽しい時間が訪れることを疑ってやまない小さな子供たちの叫びは、多分、日本全国共通なのではないでしょうか。この風景が戻ってきたことを感じられたこの5月は、本当に救われる気持ちになりました。
今回の新型コロナ禍を振り返る時、丁度入学時期から卒業までの貴重な3年間が丸々当たってしまった中学、高校生たちが犠牲者としてクローズアップされる機会が多いように思います。就学前の小さな子供たちの近頃の元気な姿を見ると、例外ではないことに気づきます。更に、仕事を終えて悠々自適な生活を目指し、あるいは元気を振り絞ってコミュニティに出かけることを楽しみにしていた高齢者にとっても貴重な3年間であったことでしょう。
3年前、突然に全世界の人々の生命、健康、生活、そして経済に大きな影響を与えた新型コロナ感染症、誰もがその対応に苦慮して何とか乗り越えてきました。政治や行政の対応においてもベストが尽くされたものと思います。しかしながら、次におなじような現象が起こった際には、上述の、特に影響が大きい世代の方々への影響について、それを最小限に留める対応ができるか否かは、その責任を負うことのできる現役世代の英知に掛かっているといっても過言ではありません。感染症に限ったことではなく、各々がその専門分野において社会的責務を負っている組織・機関、それらの構成人員である一人ひとりが、人々の暮らしを安寧にするために日々真剣に職務を全うすることが大切であることを改めて認識したいと思います。